1998春　西吉野村百谷

注：記載数値は速報値であり、最終記録は報告書による
内容の転記はご遠慮ください

下記は１９９８年、日本野鳥の会　奈良支部で行われました　春のタカ渡り探鳥会の探鳥記です。

春のタカ渡り探鳥会　４月５日　晴れ

毎年の秋、奈良県を通過して南へ渡って行くサシバは、県内でカウント出来ただけでも数千羽にも
なっています。そのサシバが越冬内から春に帰って来るのを観察しようと、高見山周辺で何度も「春
の渡り」探鳥会をしました。しかし、春季は雨がちで視界の悪い日が多く、たまに晴れてる時は杉や
檜の花粉に悩まされながら、一日中待ってもほとんど見えない探鳥会が続いていました。

あれだけのサシバが、いつどのル−トで帰って来るのだろうか。もしかしてサシバは地球の裏側を一
周りしているのではないかとまで、思いたくなる様な状況でした。今回もまた、ガッカリするのかと思
いつつ、心の底では未だ希望を捨てずに家を出てくれば、折りしも、五條市から西吉野村に広がって
いる果樹園は、今が花の盛りで美しい景色が続き、これならタカが見えなくても、花見には絶好の所
だと、自分自身に言い聞かせながらやって来ました。

観察地に着いたとたん、目の前の林の上空に、タカが5羽飛んでいる。慌てて双眼鏡を取り出して見
るとトビでした。　ガッカリしながらも、よく見るとその中にサシバが1羽いる！！　続いて杉木立の後
ろから、4羽舞い上がって来て、私達の頭上を汎翔始めた。
ようやく何年も待ちに待った「春の渡り」の光景が目の前に展開しました。小数ながら次々と飛来して
来て「秋の渡りの再現だ」と参加者で喜びあいました。　

数は兎に角、たしかにこのル−トを来ているのは間違いなく、あきらめずに来たかいがあったと充分
満足した探鳥会でした。　次回は是非とも3桁のカウントをしたいと願いつつ帰路に着きました。（岩崎）